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【美しい「暮し」の創始者】
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スヰヘイ社さんの年末の古本市で手に入れた、古い「暮しの手帖」。
心配症のおばあちゃんのような語り口がとても興味深くて、
当時の編集長 花森安治のムック本を買ってきました。

ムック本の冒頭には、
花森さんのこんな言葉が掲載されています。

 あなたの身に飾るすべてのもの、服や帽子や靴、
 ベルト、バッグ、首かざり、ブローチから指輪、リボン、髪飾りなど、
 そうしたすべてのなかで、一番うつくしいのは、あなた自身、あなたの体、
 あなたの髪、あなたの顔、そして何よりも、あなたの眼です。
 あなたをくだらなく飾り立てて、
 せっかくの、その美しさを、こわしてしまわないように。
 若い美しさは、どれだけのお金を出しても、あがなえないもの。
 それを大切にしてください。
 それを、何よりの誇りにしてください。


そしてこの文章はつぎのように締められています。

 …それなのに、きょうも銀座の行き交いは、
 娼婦のように装うひとと、
 それをうらやむひとで満ちているではありませんか。
 女とは、女のよろこびとは、しょせん、そのように生き、
 そのように装うことしかないのでしょうか。
 私はそれを信じないのです。
 私はそれを信じたくないのです。
 若いひとたち、あなたの心の中に、
 ひそかに芽生えているものを思うからなのです。

            (「花森安治 美しい「暮し」の創始者」より)

若い女の子たちが話しているのが聞こえてきました。
「どんな人とつきあうかで女の人生ってすごく変わるよね…」

花森さんがそのように考えた背景には、
戦後まもない貧しかった日本がありますし、
直接の戦争体験や戦後の生活が、当然大きく影響していますが、
その体験こそが図らずも彼に、大きく時代が移り変わって、
ひとの暮らしが豊かになっても変わらない、
「こころのあり方」それ自体を、65年も続くこの雑誌のテーマに、
選ばせることになったのでしょう。

「娼婦」というのはとても難しい表現ですが、
彼が使ったこの言葉は、いつの時代でも、
男性にも女性にも当てはめて考えられる言葉で、
そして、どこに所属するかということではなく、
その生活の中での「こころのあり方」を説いたものだと、
そう捉えたいと思います。

            *
さて宣伝です。(笑)
nowhereのランチ・デザートが
「ナッツをちりばめたチーズケーキ」に変わりました。
(売り切れの場合は違うものになります。)
3層の異なった味わいが、なかなかご好評のため、
カフェタイムのスイーツとしても、期間限定でお出ししています。
そして「今月のおすすめコーヒー」は、ニカラグア。
先月人気だったメキシコ同様とてもバランスの良い豆で、
口の中に残る苦みがメキシコよりも少し強いでしょうか。
あわせてお楽しみください。

コーヒーを飲みながら、
たまには大人のお小言にも、耳を傾けてみたいと思います。
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by nowhere-else | 2012-01-25 13:27 | いろんなこと
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